
言語聴覚士のツムジです。
病院勤務のあと、現在は訪問看護ステーションに勤め、訪問歴10年になるSTです。
言語聴覚士のみなさん、生涯学習プログラムは知っていますか?
- 今のままでは、STとしてだめだと思う
- 何か勉強したいけど、何から始めたらいいかわからない
- 将来が不安だから、キャリアアップしておきたい
- いずれ転職したいと思っている
そんなみなさんに履修をオススメしたいのが生涯学習プログラムです。
一般のセミナーに行こうと思うと、受講料が12000~15000円位かかってしまいますよね?
生涯学習プログラムの講座や研修会は1回2000~4000円程度で、しかも日本言語聴覚士協会が主催なので、最先端の情報を学ぶことができますよ。
また、認定言語聴覚士を取得すれば、キャリアアップになり、勉強熱心な人!と転職活動で評価が上がります。
この記事では、基礎プログラム・専門プログラムの修了証取得までになります。
認定言語聴覚士の取得までは後編に書く予定です。
言語聴覚士 生涯学習プログラムとは
生涯学習プログラムは、言語聴覚士の資質向上と学習の継続を目的とし、平成16年(2004年)度から日本言語聴覚士協会正会員を対象に開始されたプログラムです。
簡単にいうと、
「日本言語聴覚士協会が主催している、言語聴覚士のキャリアアップのための制度」
ST協会に入会すると、水色の厚紙の生涯学習受講記録票が送られてきます。
その記録票にそって、受講やポイント取得をしていくとわかりやすいですよ。
ざっと生涯学習プログラムの説明です。(後ほど1つ1つ詳しく説明します)
基礎プログラム と 専門プログラム があります。
簡単な生涯学習プログラムの流れ
- 「基礎プログラム」の基礎講座と「専門プログラム」の専門講座を履修し、学会参加などでポイントを取得。
- 「基礎プログラム」「専門プログラム」の条件を満たしたら協会に申請し、修了証を取得。
- 臨床経験が6年目以上(臨床経験丸5年以上)になると「認定言語聴覚士講習会」が受講可能になる。
- 認定言語聴覚士講習会を受講し、試験に合格すると「認定言語聴覚士」資格が取得可能。
「基礎プログラム」と「専門プログラム」は同時進行で受講できます。
基礎講座・専門講座のうち協会が主催するのが「全国研修会」です。
生涯学習プログラムのうち「全国研修会」のみは、日本言語聴覚士協会の会員でなくても受けられます。(ただし非会員は受講料が高い)
基礎講座・専門講座・認定言語聴覚士講習会は正会員のみが受講できます。
日本言語聴覚士協会の会員でない方は、こちらもご参照ください。

基礎プログラムの流れ
「基礎プログラム」は臨床経験の浅い方が対象で、基礎的な講座、学術活動への参加および症例検討・発表からなります。
対象
全会員(主に入会後 3 年以内の者)
※3年を超えていても問題はありません
期間
制限なし 入会後 3 年間での修了証取得が目安
※あくまで目安なので3年を超えていても問題はありません
修了証授与の3条件
① すべての基礎講座(6講座)を履修
② 基礎プログラムのポイントを4ポイント取得
③ 症例検討会における症例検討・発表
3条件を詳しく見ていきます。
すべての基礎講座(6講座)を履修
(1)臨床のマネージメントと職業倫理
(2)臨床業務のあり方、進め方
(3)職種間連携
(4)言語聴覚療法の動向
(5)協会の役割と機構
(6)研究法序論
主に都道府県士会にて履修が可能です。
日本言語聴覚士学会開催時(学会翌日)の全国研修会でも受講できます。
都道府県士会では、会員でなくても(在住・在勤の都道府県でなくても)受講できる場合が多いです。
ただし所属している会員が優先される場合はあるようです。
私の場合は、在住・在勤の県が基礎講座を開講していなかったので、ほとんどの講座を隣の県で受講しました。
基礎講座・専門講座検索 https://www.jaslht.or.jp/program.html
地域で絞り込み検索もできて便利です。

講座には必ず水色の受講記録票を持っていきましょう。

基礎プログラムのポイントを4ポイント取得
基礎プログラムの項目とポイント数
(a)論文発表
「言語聴覚研究」 2ポイント
関連学会誌 1ポイント
(b)研究発表
日本言語聴覚学会 2ポイント
都道府県士会学術集会 1ポイント
関連学会 1ポイント
(c)参加
日本言語聴覚学会、協会主催の講習会・研修会、関連学会 1ポイント
※関連学会とは 会期が2日以上で全国規模の学会、及びそれに準ずるものであること。関連学会は広範囲にわたるため特定の学会を指定してはいません。
都道府県士会の学術集会・研修会 1ポイント
※生涯学習プログラムのポイント取得対象のもの

論文や学会発表はハードルが高い!という方でも、地道に学会や研修会に参加してポイントをためることができますね。
学会や研修会などへの参加をポイントとするためには、参加者証や参加費領収書(本人氏名が記入されたもの)、発表の場合にはプログラムの写しなど、自分の参加や発表を証明するものを修了証申請時まで保管しておきましょう。
例えばST学会であれば、このような参加証が学会参加の証明になります。
症例検討会における症例検討・発表
「症例検討会」は症例について「発表」することが目的ではなく、 できるだけ症例に関する生のデータを提示し、どのように症例の障害を整理していくのか、多 角的視点でプログラムを立て、訓練を実施しつつ予後を予測するという手順について、臨床経験の豊富な言語聴覚士と時間をかけて「検討」することを想定しています。
日本言語聴覚士協会ホームページより引用
基礎プログラムにおける「症例検討会」とは、以下の条件を満たす場合とします。
- 1)臨床経験6年目以上の本協会正会員2人以上が指導者として参加していること
- 2)発表者および各指導者が異なった施設に所属していること、すなわち、最低3施設から本協会正会員が参加していること
- 3)1症例について充分な時間をとって検討すること

専門プログラムの流れ
「専門プログラム」は言語聴覚療法ならびに関連領域の知識・技術を学ぶものです。
対 象
全会員。生涯学習の観点より修了証の繰り返し取得を奨励
期 間
制限なし 初回は入会後 5 年間での取得が目安
※あくまで目安なので5年を超えても問題なし
修了証授与の 2条件
①専門プログラムの講座から 4 講座を履修
②専門プログラムのポイントを8ポイント取得
2条件をくわしく見ていきます。
専門プログラムの講座から 4 講座を履修
全国研修会、都道府県士会等において多数の講座を開講しています。
専門プログラム
(1) 言語・認知発達、言語・認知の加齢変化、音声言語聴覚医学、 認知科学、心理学、言語学、音声学
(2) サービス提供システム
(3) 成人言語・認知 失語、高次脳機能障害
(4) 言語発達障害
(5) 発声発語障害 小児、成人 摂食嚥下障害
(6) 聴覚障害 小児、成人
(7) 臨床実習 注1)
(8) 研究法 症例研究
注1)本講座を受講しても言語聴覚士としての臨床経験が5年未満の場合は臨床実習指導の任には就けません。
「全国研修会」は、原則年3回(学会翌日、7月最終日曜日、11月最終日曜日)計5ヶ所で開催されます。人気のある講座は早々に予約がうまってしまうことがあります。内容は豊富で協会から送られてくる広報誌やホームページでチェックできます。

小児や聴覚障害など、STの専門分野のなかでもマイナーな領域までカバーしているのが、さすが協会といったところですね。
専門プログラムのポイントを8ポイント取得
項目とポイント数
(a)論文発表
「言語聴覚研究」 2ポイント
関連学会誌 1ポイント
(b)研究発表
日本言語聴覚学会 2ポイント
都道府県士会学術集会 1ポイント
関連学会 1ポイント
(c)参加
日本言語聴覚学会、協会主催の 講習会・研修会、関連学会・注2) 1ポイント
都道府県士会の学術集会・研修会 1ポイント
(d)出版活動(専門領域に関する) 1ポイント
(e)職能活動 2ポイント
臨床実習指導・注4)、患者会支援・注5)、協会または都道府県 士会における年間を通しての役員や委員会活動・注6)
注2)会期が2日以上で全国規模の学会、及びそれに準ずるものであること。関連学会は広範囲にわたるため特定の学会を指定してはいません。
注3)生涯学習プログラムのポイント取得対象のもの
注4)臨床実習指導をポイントとする場合は、専門講座の(7)臨床実習を必ず受講してください。
注5)注6)申請時には年間を通しての活動であることを示す書類(議事録や役員名簿など)を添付してください。

組み合わせ自由の8ポイントです。
日頃、あまり報われることのない、失語症友の会活動が患者会支援として認められるのはうれしいですね。
協会や都道府県士会活動もポイントになります!
受講記録票は何枚でも申請可
修了証申請方法
必要書類
- 「受講記録票」
- 「修了証交付申 請書」(協会ホームページからダウンロード可)
- 学会参加や発表、職能活動を証明する書類
- 症例検討証明書(基礎プログラムのみ)
送付方法
※角2封筒に205円切手を貼り付けて、返信先の住所を明記する。
送付先
〒162‐0814
東京都新宿区新小川町6-29
アクロポリス東京9階
日本言語聴覚士協会 事務所
問い合わせ先
日本言語聴覚士協会 事務所
電話 非公開
FAX 03-6280-7629
http://www.jaslht.or.jp/form.html インターネットお問い合せフォームへ
修了証が届く
2~3週間程度で、返信用封筒で修了証が手元に届きます。
私は、基礎プログラムと専門プログラムを同時に申請したので、2通同時に届きました。
私はこの時点で、臨床経験は6年以上になっていたので、認定言語聴覚士講習の受講資格が得られました。
まとめ
① すべての基礎講座(6講座)を履修
② 基礎プログラム4ポイント取得
③ 症例検討・発表
①専門プログラムの講座から 4 講座を履修
②専門プログラム8ポイント取得
プログラムの条件を満たしたら、協会に申請して、修了証をゲット!
後編に続きます。
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