鼻からごはん粒が出る!食事中に鼻水が出る!原因は同じだった!その対策は?

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嚥下障害

STツムジです。在宅を訪問している言語聴覚士です。言語聴覚士は「食べる」「話す」のリハビリテーションの専門職です。

 

先日、こんなtweetをしました。

 

夫は食事中にちょこちょこむせます、若いのに!

チャーハンを例に挙げましたが、他にも鼻から出てきたもの、ひじきの煮物、お茶漬けなど。

数回むせて、鼻を噛むと鼻から食べ物が出てくるのです。

 

30代、40代の若い方から「むせるんですけど、どうしたらいいですか?」と相談を受けることがあります。

「鼻からごはん粒がでませんか?」

「食べると鼻水が出ませんか?」

とたずねると

「そうです!何でわかるんですか!」と返ってくることが多いのです。

 

「鼻からごはん粒が出る」

「食事中に鼻水が出る」

実は、原因は同じです!

鍵となるのは「軟口蓋」(なんこうがい)という口腔と鼻腔を分ける部分の働きです。

 

食べ物が鼻に入る・食事中の鼻水の原因と対策について、お伝えします。

 

口・鼻・のどの解剖  鍵は軟口蓋

鼻腔と口腔

鼻腔口腔は奥でつながっています。

鼻腔口腔を分けているのが、軟口蓋です。

 

舌で上あご(口の天井)を触ってみて下さい。

舌が触った部分が硬口蓋(こうこうがい)です。

硬口蓋から後ろになぞっていくと触れる、やわらかい部分が軟口蓋(軟口蓋)。

上あごの前方3/2の硬口蓋部分は骨があり硬いのですが、後方1/3軟口蓋部分はなく筋組織でやわらかく、動かすことができます。

軟口蓋

「のどちんこ」、正式には「口蓋垂」(こうがいすい)も軟口蓋の一部です。

 

軟口蓋の働きは口腔と鼻腔を遮断すること

食べ物を噛んで、飲み込む準備をしているところです。

注目は左の丸の中、軟口蓋。

飲み込む瞬間は、軟口蓋が上がり、口と鼻がつながる道を塞ぎます。

軟口蓋は口腔と鼻腔を隔てる弁のような働きをしています。

軟口蓋が働いてくれるおかげで、食べ物は上方の鼻腔ではなく、下方ののどへ送り込むことができます。

 

鼻からごはん粒が出てくる理由

通常は、飲み込む瞬間、軟口蓋が上がり、口腔と鼻腔が遮断されます。

しかし、うまく遮断がされず、食べ物が鼻腔に逆流してしまうことがあります。

原因は軟口蓋が十分に上がりきらない、あるいは飲み込みと軟口蓋が上がるタイミングが合っていない場合です。

鼻からごはん粒が出てくるのは、口腔のごはん粒が鼻腔へ逆流しているからです。

 

鼻腔への逆流の話をするといつも思い出すのが、小学校の同級生のみっくん。

みっくんは給食の時間に笑うと、ブハッと鼻から牛乳を出していました。

みんながそれを見たくて、何とかみっくんを笑わせようとしていたのを覚えています。

「鼻から牛乳」も鼻腔への逆流で起きるということですね。

 

食べると鼻水が出る原因

熱い食べ物や、からい食べ物を食べると鼻水が出るのは、正しい生理現象で、心配はいりません。

熱い食べ物の湯気、からい食べ物の香辛料が鼻腔の粘膜を刺激し、鼻水を分泌させます。

 

心配なのは、熱くもからくもない食べ物なのに、鼻水が出るケースです。

食事中の鼻水の原因となるのは、食べ物の鼻腔への逆流です。

逆流した水分が鼻水のように出てきているのです。

食べていると鼻水が出てくるのは、軟口蓋が上手く働いていない可能性が高いですね。

 

軟口蓋のチェックポイント

飲み込むときに大事な役割をしてくれている、軟口蓋。

軟口蓋がきちんと働いているか自分でチェックしてみましょう。

 

軟口蓋の動きは見える

軟口蓋の動きは見ることができます。

鏡を見ながら大きく口を開けて、「あっ、あっ、あっ」と声を出してみて下さい。

軟口蓋が引っ張り上げられるように上下するのが見えます。

通常は、軟口蓋は左右対称の動きをします。

脳卒中の後遺症の片麻痺がある方は、麻痺している方の軟口蓋の動きが小さくなって、よく動く方に引っ張られるように動く特徴があります。

 

声で軟口蓋の動きをチェック

軟口蓋の働きを「声」で確認することもできます。

 

日本語の音は、通鼻音と非通鼻音に分けられます。

通鼻音とは、字のごとく、鼻に通る音。

非通鼻音とは、鼻に通らない音です。

 

日本語ではマ行(マミムメモ)とナ行(ナニヌネノ)のみが通鼻音。

それ以外は非通鼻音です。

 

通鼻音(マ・ナ行)のときは、軟口蓋は下がり、声は鼻腔+口腔に共鳴します。

非通鼻音のときは、軟口蓋は上がり、口腔に共鳴します。

 

鏡を鼻の下に当てて声を出してみると、マ行とナ行のときは鼻から呼気がでるので鏡がくもり、それ以外はくもりません。

「あー」と発声したときは鼻から呼気は出ていないのが普通です。

「あー」で鏡が大きくくもるようであれば、軟口蓋の働きが悪いのではないかと疑うことができます。

 

開鼻声(かいびせい)があるか

鼻に抜けてはいけない(鼻腔に共鳴しないはずの)音が鼻に抜けている声を、「開鼻声(かいびせい)」と言います。

 

「開鼻声」と聞いても、ちょっとイメージしづらいですよね。

開鼻声のわかりやすい代表は瀬川瑛子(せがわえいこ)さん。

「命くれない」などのヒット曲がある歌手です。

 

瀬川瑛子は歌うときも話すときも開鼻声がありますが、特に歌うときに開鼻声を強く感じます。

YouTube
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歌い始めの「生まれる前から結ばれていた そんな気がする」までためしに聞いてみて下さい。

「そんな」の「な」は通鼻音なので、鼻にかかっていい音ですが、その前の「そん」の部分から完全に鼻に音が抜けています。

 

聴いた印象としては、鼻にかかってこもったような感じですね。

開鼻声がある方は、軟口蓋の働きが低下しているかもと推測できます。

 

実は私ツムジも少し開鼻声があります。でも、私はほとんどむせません。開鼻声があっても、むせない人もいれば、夫のように開鼻声がなくてもむせる人もいます。

話すときの軟口蓋の動きと、飲み込むときの軟口蓋の動きは必ずしも一致しないので、軟口蓋の動きをチェックする一つの目安程度としてくださいね。

 

上記チェックポイント以外にも、軟口蓋の働きが弱いと、うどんなどの麺類がすすれません

すするためには、軟口蓋を上げて、口腔内で陰圧を作らなければならないからです。

 

また、風船をふくらますことも難しくなります

風船をふくらませるためには、軟口蓋を上げて(鼻から空気がもれないようにして)呼気を口から一気に吐かなければなりません。

楽器を吹く、ろうそくの火を吹き消すのも同じです。

このようなことが苦手な方は軟口蓋の働きが低下しているかもしれませんね。

 

軟口蓋の挙上、口腔と鼻腔の遮断が不十分だと、しっかりした咳やむせもできません。咳は体を守る大事な防御反応ですから、できないと困るんですよ!

 

なぜ、食事中・食事後の咳・むせが起きるのかはこちらをどうぞ。

ご飯を食べると咳が出る!食後に咳が出る!咳とむせの原因と対策は?
STツムジです。在宅を訪問している言語聴覚士です。言語聴覚士は脳卒中や神経難病の方への「食べる」「話す」リハビリテーション専門職です。 「嚥下障害」(=食べたり、飲み込んだりすることが難しくなる...

 

鼻に逆流させないための対策は軟口蓋のトレーニング

ポイントは軟口蓋をきたえること。

頬のふくらませ

頬をふくらませるためには、軟口蓋を上げて、鼻に空気がもれないようにする必要があります。

トレーニング方法は簡単。

頬をふくらませ、空気をためた状態をキープします。

指で頬を押さえても、くちびるから空気がもれないように、鼻腔に空気が抜けないようにしっかりふくらませます。

慣れてきたら、くちびるの上(鼻の下)、くちびるの下もしっかりふくらませるようにしてみて下さい。

本気で取り組むと、軟口蓋がだるくなってくるのがだんだんとわかるようになってきますよ。

 

ブローイング

コップやペットボトルに水を入れてストローでぶくぶく吹く方法です。

ストローは5センチほど水に入れて、行います。

優しく長くぶくぶく吹く方法と、一気に強く吹く方法があります。

 

吹き戻し

口腔機能を高めるための、専用の吹き戻しが市販されています。

 

長息生活には4つのレベルがあります。
・レベル0・・・ティッシュペーパーを一枚吹いて揺らす程度
・レベル1・・・日常会話をはっきりとした声で話す程度。
・レベル2・・・ろうそくの火を吹き消す程度
・レベルMAX

・レベルに迷ったらトライアルセットがオススメです

 

軟口蓋のトレーニングはいずれも血圧が上がりやすいので、適宜休憩しながら行ってください。

飲み込みの力は年齢とともに衰えます。若いうちから、軟口蓋トレーニング、始めておくといいですね。

 

嚥下(飲み込み)の意識化も大事

軟口蓋を上げる筋肉の筋力がアップしても、飲み込みと軟口蓋が上がるタイミングがズレている場合は、逆流防止に効果が十分でないことがあります。

この場合に気をつけるべきことは「嚥下(飲み込み)の意識化」です。

スマホを片手に、テレビを見ながら食事をしていませんか?

食事に集中していないと、準備なく不意に飲み込んで、むせたり、鼻腔への逆流が起こったりしやすくなります。

食事に集中して、飲み込みを意識する習慣を作るといいですね。

 

まとめ

  • 「鼻からごはん粒が出る」「食事中に鼻水が出る」は軟口蓋の働きの低下による、食べ物の鼻腔への逆流が原因。
  • 軟口蓋の動きは自分でチェックし、きたえることができる。
  • むせや、鼻腔への逆流防止には飲み込みの意識化が重要。

 

わが家では、3ヶ月前から食事中にテレビを見るのをやめました。

始めたきっかけは「ながら食べをやめたらよく噛むようになって痩せるかもしれない!」というものでした。

結果として、食事に集中できるようになり、夫のむせや鼻からごはん粒は少なくなってきましたよ。残念ながら2人とも全然痩せませんけどね…。

 

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コメント

  1. […] 鼻からごはん粒が出る!食事中に鼻水が出る!原因は同じ!その対策は? … […]

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