言語聴覚士の道にすすみたいけど、学校はどうやって選んだらいいの?
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言語聴覚士のツムジです。
親戚の高校生、直也くんが言語聴覚士を目指しているらしく、話を聞かせてほしいと頼まれました。
個人的には言語聴覚士の仕事が大好きだし、おすすめしたいです。
言語聴覚士になるための学校選びについて、お話しします。
言語聴覚士のどの専門分野に興味がある?
今度、高校の進路相談があって、言語聴覚士の学校に進学しようと思っているんだ。それで話を聞かせてもらえればと思って。
直也くん、高校2年生だっけ?言語聴覚士の学校に進もうというところまでは意志は固いんだね。
そう高2。意志が固いかと言われると自信ないけど…、90%は決まっている感じ。
いいね。ねえ、直也くんはサッカーやってたんじゃなかったっけ?
そうだよ。なんで?
部活とかで体育会系スポーツをバリバリやっていた人は理学療法士になる人が多いから、なんで言語聴覚士なんだろうと疑問。
俺も初めは理学療法士に興味があったんだ。スポーツに関わる仕事もおもしろいかなあと思ってたし。だけど、高校の先生に言語聴覚士は将来性があるってすすめられて、調べるうちになんか面白そうと思えてきた。
へえ、どんなところが面白そうと思ったの?
今、一番興味があるのは、発達障害。サッカー部の同級生がADHDだってわかったんだ。高校生になってから診断されたんだって。それまでうっかりが多いしちょっと変わった奴だなとは思っていたけど、まさか!だった。で、発達障害についての本を読んだりした。言語聴覚士は発達障害も専門なんでしょ?
それはびっくりだったね。言語聴覚士は発達障害も専門だよ。
あとね、人工内耳っていうの?耳が聴こえない人が頭に埋め込む機械。それにも驚いた。すごい技術だなあと思った。
よく調べたね!両方とも言語聴覚士のなかではマイナーな分野だと思うけど…。発達障害に関わる職種は、他にも心理職や作業療法士があるけど、人工内耳のリハビリは言語聴覚士しかできないわ。
学校の種類が多いぜ 3年制?4年制?専門学校?大学?
言語聴覚士の学校って、いろいろあって、ややこしいよな。専門学校も大学もあるし、専門学校だと2年とか3年とかもあるんだよね?どう違うの?
そうだね。難しいよね。まず、直也くんのように高校を卒業してから、学校に行く場合は、3年制か4年制になるの。
あれ?2年制もあるって、どこかにあった気がするけど。
2年制は大学を卒業している人のコースなんだよ。
そうなんだ。じゃあ、高卒なら3年制か4年制ってことか。
そう。学ぶ内容は3年制でも4年制でもあまり変わらないの。でも授業のスピードは3年制の方が速いわ。夏休みの長さとか実習の時期などのスケジュールは変わってくるわね。
最近の傾向として4年制大学が人気があるみたい。
3年制の方が短くて済むし、ラッキーかなと思っていた。なんで4年制大学が人気なんだろう。
大学を卒業すると「学士(がくし)」が得られるのね。学士は大学を出ましたよっていう称号みたいなもの。今は全体的に大卒者が増えている時代だから、どうせなら大学で学士を取っておけと先生や親御さんに言われるみたいだよ。
あとは、専門学校だと言語聴覚士になるための勉強に特化したカリキュラムだけど、大学だと一般教養科目もあるし、普通の大学生のキャンパスライフに近い部分もあるんだろうね。
ふーん。そうなんだ。
あとは大卒の方が「つぶしがきく」ってことだろうね。
つぶし…?どういう意味?
4年制大学の教授に聞いた話だけど、言語聴覚士の養成課程の大学を出ても、言語聴覚士にならない人も少ないけどいるんだって。言語聴覚士の国家試験に受からなくても大学は卒業できるから、大卒として一般企業に就職できる。もし、途中で進路希望が変わっても、大卒なら方針転換しやすいってことじゃないかな。
そういことか。俺は方針転換するつもりは今のところはないけど、大学の方が将来の選択肢が増えると考えるといいかもね。
学校選びのポイント
じゃあ、仮に4年制の大学にするとして、現実問題、偏差値をクリアしないと。
それは当然。入りたいと思っても、偏差値が足りなかったら、勉強するしかない!学校によって偏差値の幅は、本当に大きいね。
言語聴覚士養成校が増えて、偏差値40代も出てきているらしいから。
勉強するよ!
偏差値の他は?あとはどうやって決めたらいいのかな?何を決め手にすればいいの?
学校は先生で選べ!
いくつかポイントはあると思う。もし私が直也くんの立場で選ぶとしたら、まずは自分が一番興味のある分野を専門としている先生がいる学校を選ぶ。直也くんなら発達障害や人工内耳ね。
専門としている分野?
言語聴覚士であればもちろん専門の一通りの勉強はしてきているよ。でも、言語聴覚士の分野も狭いようで広いから、学校の先生もそれぞれの得意分野があるの。特に大学の先生だったら必ず研究分野があるわ。成人の失語症が専門の先生もいれば、聴覚障害が専門の先生も、小児の発達が専門の先生もいるわけ。だから、自分が一番興味のあることを、専門家として研究している先生のもとで学ぶのがいいと思うわ。
言語聴覚士のなかでも、さらに専門分野が分かれているんだね。
そういうこと。学校のホームページを見たり、案内を取り寄せたりすれば、先生が何を専門として研究しているか書かれているよ。
へえ、そうなんだ。チェックしてみなきゃ。先生の専門研究ね、メモメモ。他に学校選びのコツはある?
卒業生が多い歴史のある学校がおすすめ
あとは、そうだね、新設の学校はできるだけ避けた方がいいかな。
新設って、できたばっかりの学校ってことでしょ?新しいし、先輩がいない方がラッキーじゃん。
そうか、ラッキーか…。直也くん、実習ってわかる?
言語聴覚士が働く病院とかに行って、いろいろ習うこと?
そうそう。学校で習った知識を実際の現場で患者さんに活用して、勉強させてもらうのね。言語聴覚士になるために必修。
歴史ある学校だったら、代々の先輩方が残して、引き継がれる実習記録がある。どんなバイザーがいて、どんな疾患が多くて、どんな雰囲気か、何を勉強していけばいいかある程度予想できる。
新設校だと、それがない。
バイザー会議といって、バイザーと顔を合わせる機会もあるし、無くてもね、何とかなるけど。事前の情報なしに実習に臨むなんて、丸腰で(武器を持たずに)戦地に向かうようなもの。
学生の実習先を決める学校の先生も、本来なら学生とバイザー(実習指導者)の相性を見て、マッチングするのに情報がなければできない。
こわっ!
新設校だと、実習先の確保が大変みたい。
そもそもバイザーとして実習生を受け入れる私のような立場からしても、たくさんの学校から実習依頼があったときはやはり母校からの実習生を受け入れてあげたいと思う。正直、恩師から頼まれたら断りにくい。
歴史が古いと言うことは、卒業生も多いということ。臨床実習のスーパーバイザーには臨床経験5年、ケースバイザーには臨床経験3年が必要と定められている。卒業生が多ければ、バイザーができる人数も多いということになるわけ。
なるほどね。バイザーが実習で大事になってくるのか。
これは実習だけではなくて、就職でも同じことが言えるの。母校の学生を優先的に採用したいと考える人が結構いるんだよ。もちろん個人の資質も大事だし、評価されるわよ。でもね、採用する病院側は求人票を送るときにすでに学校を選別しているのが現実だからね。
卒業生が多い古い学校を選んだ方が得ってこと?
絶対ではないけど、何かと有利なことは多いかもね。
歴史の古い学校ね、メモメモ。
学校の国家試験の合格率をチェック
当然だけど、学校の国家試験の合格率も大事。言語聴覚士の就職活動は国家試験の前に行うのが一般的なの。言語聴覚士の国家試験は在学中の最終学年の2月にあって、合格発表は3月。だから、せっかく就職が決まっていても、国家試験に合格できなければ就職は取り消し。
それはきついなあ。合格できないと言語聴覚士と働けないってことだよね。
そう。採用する側としたら、少しでも国家試験に合格する確率が高い人を採用したい。学校の国家試験の合格率が一つの目安になることもある、あくまで目安だけどね。
国家試験の合格率ね、メモメモ。
言語聴覚士に限らないけど、医療資格は資格を取って終わりじゃない。資格をとってからも勉強し続けないといけない。ある程度、偏差値が高い学校なら勉強が得意な学生が多いだろうから、就職してからもきっとよく勉強するはずって思っちゃうかな。
偏差値が高くて、国家試験の合格率も高い。優秀な学校ほど、求人は多いし、就職にも有利ってことだね。
ああ、勉強しないと!
ちゃんと勉強しなよ!
そうだね、それでも迷ったら、学費も学校によって違うから少しでも安いところを選ぶのもよし、実家から通える学校があるなら、自宅通学を選ぶのもよしだね。
高校の担任にはオープンキャンパスをすすめられてる。
ぜひ、行った方がいいよ。学校の雰囲気は行ってみないとわからないものね。先生や先輩たちと話す機会もきっとあるね。
まとめ
言語聴覚士の学校選びのポイントは、偏差値以外にもたくさんあります。
どんな先生がいるか、卒業生が多いか、国家試験の合格率は高いか。
もちろん、雰囲気も大事だね。まずは資料請求をするところから始めてみよう!言語聴覚士になるための第一歩です。
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